八重山諸島の旅、4日目は黒島に行ってきました。
黒島に行くのは今回が初めてでした。9年前にUkyooo!さんがmikioさんに貸してくれた本を読んだのをきっかけにその存在を知りました。その頃は行き先の候補から外してしまったけど、「人よりも牛の数が多い島」として紹介されていた黒島のことがずっと気になっていました。約200人ほどの人口に対して、3,000頭もの牛がいるそうです。
しかし、今回は子供連れ。黒島に行くどうか、ぎりぎりまで悩んでいました。人より牛が多いのは面白そうだけど、とにかく何も無さそうというのが不安要素だったのです。お店や自販機もほとんど無いようでした。ブログも検索してみたけど、情報が少なさすぎる!春夏生さんに「黒島って何があるの?」と聞かれても「牛が沢山いるみたいだよ!人より多いんだって!」としか答えられませんでした。やばい、あまり魅力を感じてもらえなさそうだ…
予定日前日になり、本腰になって情報を探し始めました。そして、450mもの巨大な潮溜まりができるシュノーケリングにぴったりな海岸があるという情報を見つけたのです。シュノーケリングが大好きな春夏生さんはこれには大喜び!一気にテンションが上がってきました。
そして、当日。石垣港の売店でペットボトルの水やお茶を6本購入してフェリーに乗り込みました。竹富島や西表島に向かうフェリーと比べるとお客さんの数が少なく、不安と共に期待も増してきました。島が見えてきた時には感動!念願の黒島だー!
石垣島港から40分ほどで到着。まずはレンタサイクルを借りることにしました。特に予約していなかったので、港にお迎えに来ていたレンタサイクル屋さんに話を聞いて、子供自転車のあるお店を選びました。
私たちが選んだ「まっちゃんおばーのレンタサイクル」は港から徒歩2、3分の場所にあります。お金を払うと「あの倉庫に自転車があるから好きなのを選んでください」と言われるので、各自好きな自転車を選びます。古いものから新しいものまであるので慎重に選ぶことをおすすめします。レンタバイクもありました。
お店と倉庫の前の道。フェリーを降りた人たちがあちこちに散らばった後は、誰一人通りかかることもなく、ただ鳥の声が聞こえるだけでした。みんなどこに行ってしまったのか。
まっちゃんおばーのレンタサイクルでもらった地図を片手にいざ出発!最終目的地は仲本海岸。1周1時間ほどで周ることができる小さな島なので、あとは臨機応変にのんびり回ることにしました。
まずは展望台に行こうという話になり、勢いよく自転車を走らせました。
しかし、かなりの距離を漕ぐも何も無い。人にも車にも会うことがありません。
「なんかあった!」と思っても、そこに人気はありません。
やっと見つけたかなり大きな建物!あそこなら人がいるのでは!? と期待して近づいてみました。
大きな建物は学校でした。小学校と中学校が同じ敷地内にあります。やっと人に会えると思ったのに夏休みなので誰もいませんでした。
学校の脇にあったポスト。1日1回しか収集に来ないようです。ポストの蓋からトカゲが出たり入ったりしていました。ポストの中はどうなっているんだろ…
やたらカラスが鳴いていたので頭上を見上げた後、ふと近くの木を見るとこんな張り紙がありました。カラスに呼びかけてる張り紙なんて初めて見た!なごむなぁ。
再びしばらく自転車を漕いで、展望台に到着しました。
展望台から360度の景色を見て、改めて黒島の凄さ感じました。本当に何も無い!ここまで自転車で20分くらいかかったのに誰に会うこともなかったのです。こんなに遠くまで見えるのに人もいないし、車もいない、動いているものといったら、風に揺れる草木と雲と牛と鳥だけです。
「この地球上にはもう私たち家族しかいなくなったのでは!」と錯覚するほど心細くなってきたので、展望台から見えた牛舎にを覗きに行ってみました。近づくと近くの建物の中からラジオの音が聞こえてきました。ちょっと安心!でも、人気は無く、会えたのは牛のみです。
沢山牛のいる方に行ってみると、ドドドドドドドドドドドド!!!!!と牛が大移動してびっくり!しかも、なんかこっち見てるし!
気のせいかなとも思ったけど、やっぱりこちらを見ています。そして、みんなモーモー鳴いています。これは突進されたら死んでしまう。
どこに行ってもみんな私たちの方を見て、モーモー鳴いていました。かなり大きな鳴き声で怖いくらい。
牛に申し訳なくなってきたので、写真を撮らせてもらった後はさっさと移動しました。移動してもまた出会うのは牛ばかり。人はどこだー!
しばらくするといくつか建物が並んでる場所がありました。うぉぉー!郵便局だー!!!!もう郵便局が見えたというだけで感動です。土曜日だったのでこちらも誰にも会えず、しょんぼり。
その時!目の前を1台のトラックが!!!!!と思ったら、なんか荷台に人が立ってるー!日本でこんな光景を見るのは初めてかも。
この辺りが黒島の集落でした。それでもさきほどトラックに乗っていた人たち以外に人はいません。診療所もあったけど、ここもお休み。
地図を見てみるも何もない。
トイレに行きたかったので、トイレマークの場所に行ってみるもトイレらしき場所はありませんでした。そんな時ほどさらにトイレに行きたくなるものです。
そんな私をよそに子供たちは大盛り上がりでした。危ないものが無いので、自由に自転車を走らせられるからです。東京だったらこんなわけにはいかないなー。
それにしてもすごいトイレに行きたい。似たようなセリフの流れる星野源のCMを思い出して自分を励ましつつも、頭も痛くてちょっとバテ気味になってきました。もう体調を崩さないと誓ったのに数日前の竹富島と同じ感じに!それでもおかまいなしに自由な子供たち。
気分を紛らわすために集落をウロウロ… いやー、それにしても誰もいない!
私たちの走ってきた道は日本の道100選に選ばれた道だったらしく、記念碑が飾られていました。確かにいい道!
ついにお店を発見!!!!ネットで見かけた「たま商店」だー!どうやら島で唯一の商店のようです。幸い開いていたので中に入ってみることに。
お弁当が売ってる!!!お弁当が!!!ここまでとにかく何も無かったので、見るもの全てに感動してしまいました。お菓子もアイスもあるし、飲み物もある!困ったらここに来ればいいんだと、ホッとしました。
さらにはそのすぐ近くに食事ができそうな場所を発見しました!看板も暖簾も出てるし、ここもやってるー!
セルフカフェ「よねおじさんの家」は数ヶ月前にオープンしたばかりのお店でした。なんか色々食べ物もあるし、ゆっくりできそうでありがたい!
お店の中に入ると、店主のよねおじさんとかわいいわんちゃんがお出迎えしてくれました。ミニチュアピンシャーのえんちゃんです。
やっとトイレに行けて最高!とはいえ、食欲が全く湧かず、体調はどんどん悪くなる一方でした。せっかく注文した食事もほとんど手をつけず、mikioさんに食べてもらうことに。
なるべく体調の悪くないふりをしようと努力はしたものの悪化する一方で、頭痛はするし、気持ち悪いし、寒気はするしでフラフラでした。この後、またみんなと行動できる気がしないー。みんな元気そうなのになぜ私だけこんなことになってしまうのか、せっかく黒島に来たっていうのに!
「お母さん、大丈夫ー?」と言いながらも、うひゃうひゃと過ごす春夏生さんたち。ジュース飲み放題、かき氷食べ放題、犬と遊び放題と天国です。
そんな様子を微笑ましく見る余裕も無く、私はついに限界を迎えました。よねおじさんに「実はものすごく体調が悪くて… 他のお客さんが来るまで横にならせてもらってもいいですか?」と聞くと、「どうぞ。他のお客さんが来たらそこにあるソファーを使ってもらっていいですよ。いつも僕が寝ているやつだけど。」と答えてくれました。
少し休んでから行動を再開するつもりが、mikioさんに「みんなのために休んでいてほしい」と言われたので、そのまま休ませてもらうことにしました。すごく行きたいけど、もう動けないー。そして、mikioさんと春夏生さんはいなくなってしまいました。「あぁ、仲本海岸ってどんなに素敵なところなんだろう… 」と思いながら、私の意識は遠のいていきました。仲本海岸の様子は写真でどうぞ。
しばらくすると、お客さんがやってきたのでソファーに移動させてもらいました。何度かトイレに駆け込んだ後、さらにソファーで眠り続けたおかげでかなり気分がすっきり!なんと3時間も経っていました。そんな長い時間何も言わずに寝かせてくれるなんて、普段じゃ考えられない!よねおじさんの家に出会わなかったらどうなっていたことでしょう。
少し食欲が湧いてきたので、気分をすっきりさせたくて、かき氷をいただくことにしました。あんこはよねおじさんの手作りで特別おいしいー!なんか元気が出てきたぞー!そんなことを思いながら、お店の手伝いにやってきたお姉さん「りんちゃん」とよねおじさんと話しているうちに私は涙がぽろぽろ… 申し訳ない気持ちと感謝の気持ちがごちゃ混ぜになって涙が止まりませんでした。
よねおじさんは愛知県から移住してこのお店をオープンしたそうです。名古屋で喫茶店をやっていた経験もあるということで、名古屋話でも盛り上がりました。りんちゃんも1年ほど前に横浜から移住してきたらしく、私は2人の移住話に興味津々!黒島の魅力を沢山教えてもらいました。
よねおじさんの家は「おじさんの家に遊びに来た」というコンセプトで作られていて、内装もほぼ昔の民家のままということで居心地抜群です。よねおじさんに「今度は日帰りじゃなくて1週間くらい来るといいですよ」、「朝は子供たちとラジオ体操でもして、海で遊んで、体調が悪くなったらここに来て、昼寝すればいいよ」なんて言ってもらえて、とっても嬉しかったです。
mikioさんたちと連絡が取れ、港に向かうために外へ出ると、あの体調の悪さも仲本海岸に行けなかった悲しさもどこへやら。ただただ、素敵な人たちに出会えたことに感謝しました。よねおじさん、りんちゃん、本当にありがとうございました!いつかまた必ずお邪魔します!
りんちゃんが送ってくれるというので、お言葉に甘えて送ってもらうことにしました。りんちゃんはバイク、私は自転車。りんちゃんが速度を合わせて走ってくれました。午前中よりも沢山の牛が放牧されていて、さらにあちこち牛だらけ。のどかだなー。
りんちゃんが私を送ってくれたのには理由がありました。仲本海岸よりもさらにおすすめの場所が港のすぐ近くにあるというのです。魚はいないけれど、砂浜も水も綺麗で波も無く、子供が泳いだり、昼寝したりするにはぴったりとのことでした。岩の間を潜らないと辿り着けないので、観光で訪れる人はほとんど知らないそうです。どんな場所は胸を踊らせながら私たちは岩の間を潜りました。
岩の間を抜けた先に見えたのはとても美しい場所でした。今まで見た八重山諸島の海で一番綺麗かも!よねおじさんとりんちゃんが「とっておきの場所!」と言うだけあって、貸切状態!プライベートビーチ気分が味わえました。最後にとっておきの場所で泳げて良かったー。元気に島の時間を満喫したmikioさんと春夏生さんも黒島がお気に入りの場所になったようなので、次回は黒島だけで1週間くらい滞在したいです!
かなり後ろ髪を引かれつつ、最終のフェリーで石垣島に戻りました。そして、夕食にやってきたのは石垣島で1,2を争うほど人気の焼肉屋さん「炭火焼肉 やまもと」です。絶対に行きたかったので、4月に予約しておきました。それでも空席がほぼ無かった位の人気店です。
名物の焼きしゃぶとニコタン、ファミリーセットを堪能しました。ファミリーセットは色々な部位のお肉の盛り合わせの他に野菜、ご飯、スープがついて、かなりのお得感がありました。かなりの食いしん坊な私たち家族が「もう食べきれない!」と思うほどのボリュームでした。
黒島に行った後、焼肉屋さんに行くという流れはちょっと気が引けてしまったけど、「今食べているお肉もきっと黒島で育った牛に違いない!」と、黒島に感謝しながら頂きました。黒島で育てられた牛たちは島外に出荷されると石垣牛や松坂牛といった日本各地の有名ブランド牛として売り出されるそうです。
石垣牛のあまりのおいしさにさらに焼肉好きになってしまった春生さん。完全に焼肉奉行になっていました。お肉を焼く時の顔が真剣すぎる。とびきりおいしい石垣牛をお腹いっぱい食べて、お酒も飲んで、お会計は家族4人で¥12,900でした。や、安い!東京だったらいくらかかるだろう… また次に石垣島に行くことが決まったら、すぐに予約しておきたいお店です。